琥珀の記憶 雨の痛み
駐輪場の屋根下、一番奥の方が原付ゾーンだ。
そこまで来るともうみんなの声も聞こえてこないし、死角になっていた。
ちょっと狭いけど奥側にも出入り口があって、店舗1階に入っているファーストフード店の横に出る。
そっちを使えば少し大回りになるけどみんなの前を通らずに店から離れられるから、門限のせいで1人先に帰らなくてはいけなかった私は、二度バイバイを言うのが気まずくてよくそのルートを使っていた。
尚吾くんが帰り道送ってくれるようになるよりも前の話だけど。
誰の目を気にするでもなく堂々とみんなの前を手を振って通過していた彼が、今日はその裏ルートを使おうと言うのだ。
『みんなに見つからない』ために。
「ごめん、ちょっと強引だったな」
無言で私の背中をぐいぐい押していた手を放して、原付を列から出しながら尚吾くんはそう言った。
「強引……っていうか、嘘まで吐くから驚いちゃった」
言ってしまってから、はっとした。
もしかして、みんなの目を盗んで裏から帰ろうという方が冗談で、アツシに言った『原付取りにいくだけ』は本当だったんじゃ。
うわ。
だとしたら私、どんだけ思い上がってるの!?
は、恥ずかしい。
冗談だった? とも聞くに聞けない。
尚吾くんが元来た方へ戻るつもりなのか、そのまま出口に向かうつもりなのかも分からないまま、右往左往する私はかなり挙動不審だ。
案の定、「何やってんの」と突っ込まれた。
「でもあれくらいしないと――、」
「え……?」
「莉緒、ずっと俺のこと避けてるみたいだったから」
そこまで来るともうみんなの声も聞こえてこないし、死角になっていた。
ちょっと狭いけど奥側にも出入り口があって、店舗1階に入っているファーストフード店の横に出る。
そっちを使えば少し大回りになるけどみんなの前を通らずに店から離れられるから、門限のせいで1人先に帰らなくてはいけなかった私は、二度バイバイを言うのが気まずくてよくそのルートを使っていた。
尚吾くんが帰り道送ってくれるようになるよりも前の話だけど。
誰の目を気にするでもなく堂々とみんなの前を手を振って通過していた彼が、今日はその裏ルートを使おうと言うのだ。
『みんなに見つからない』ために。
「ごめん、ちょっと強引だったな」
無言で私の背中をぐいぐい押していた手を放して、原付を列から出しながら尚吾くんはそう言った。
「強引……っていうか、嘘まで吐くから驚いちゃった」
言ってしまってから、はっとした。
もしかして、みんなの目を盗んで裏から帰ろうという方が冗談で、アツシに言った『原付取りにいくだけ』は本当だったんじゃ。
うわ。
だとしたら私、どんだけ思い上がってるの!?
は、恥ずかしい。
冗談だった? とも聞くに聞けない。
尚吾くんが元来た方へ戻るつもりなのか、そのまま出口に向かうつもりなのかも分からないまま、右往左往する私はかなり挙動不審だ。
案の定、「何やってんの」と突っ込まれた。
「でもあれくらいしないと――、」
「え……?」
「莉緒、ずっと俺のこと避けてるみたいだったから」