琥珀の記憶 雨の痛み
『対等』……?


確かに今、ユウくんに対しては、前のような苦手意識や恐怖感はない。

ユウくんと2人で話す時間は最初は気まずかったけれど、思いの外色んな表情を持っていたユウくんは、自分と同じ人間なんだとちゃんと感じられた。

何て言うか最初は、住む世界の違うヒト、みたいに見えていたから。


ユウくんとは、別に大して突っ込んだ話をしたわけじゃない。
彼が傘を嫌う理由も、バスケを辞めた理由も聞けないままだ。

ただ薄々感じたのは、彼が他人には触れられたくない何らかの痛みを抱えていること、くらい。
そして多分向こうも、私のソレに、薄々気付いている。


ユウくんが私に気安くなったのは多分、私の尚吾くんへの気持ちに気付いたからじゃないかと、思うのだけど。
面白半分、からかいついで、みたいな。


「彼が名倉祐仁だって、気が付いたからかなぁ……」


まさか、ユウくんは私の秘めた恋路を眺めて楽しんでるんだ、とは言えない。
これなら上手く誤魔化せるかもしれないと、彼のフルネームを口にした。

ナツやメグには言うなと口止めされたけど、尚吾くんには隠す必要ないはずだ。


「え? あいつの名前?」

と、尚吾くんはきょとんと首を傾げる。

「うん。あの人中学の時、この辺りのバスケ部員の中ではすごく有名だったの。すごく上手くて」

そう簡単に説明すると、尚吾くんは意外そうに驚いた顔で「へえ!」と声をあげた。
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