琥珀の記憶 雨の痛み
尚吾くんは、もう一度私の顔色を窺うように覗きこんだ。
私はさっきよりは大分自然に、笑い返せたと思う。
彼は原付を押す手を片方放して、グーにした手で鼻の頭を二、三度擦った。
私の反応見て、『言わなきゃ良かったかな』とでも思っているみたいだ。
私は何にも気にしてない風を装って、首を傾げた。
自然にそんな演技までした自分は、ひどく汚い、と思う。
「誤解しないで欲しいんだけど、俺別に、ナツのせいにしようとしてるわけじゃないから」
「え?」
困ったように尚吾くんが言った前置きはなんだか予想とはちょっと違って、私は今度こそ本当に首を捻った。
「や、なんか、密告みたいになるのかなと思って」
「何、が……」
まるでナツが陰で悪い事したみたいな言い方に、お腹の奥の方の内臓がきゅっと縮まった気がした。
「あ、ごめん! 大したことじゃないから、そんな身構えないで」
と、少し慌てたように彼はフォローする。
「た、大したことじゃないなら、もうちょっとサラッとお願いします……」
堪らずに口から出たのは本音だった。
これ以上引き延ばされたら、色々耐えられそうにない。
けど、私の言い方がツボに入ったのか、尚吾くんは声に出して笑った。
少なくとも彼にとってはそんなに重い話でもないのだと、それを見て僅かにだけど、私は落ち着きを取り戻した。
私はさっきよりは大分自然に、笑い返せたと思う。
彼は原付を押す手を片方放して、グーにした手で鼻の頭を二、三度擦った。
私の反応見て、『言わなきゃ良かったかな』とでも思っているみたいだ。
私は何にも気にしてない風を装って、首を傾げた。
自然にそんな演技までした自分は、ひどく汚い、と思う。
「誤解しないで欲しいんだけど、俺別に、ナツのせいにしようとしてるわけじゃないから」
「え?」
困ったように尚吾くんが言った前置きはなんだか予想とはちょっと違って、私は今度こそ本当に首を捻った。
「や、なんか、密告みたいになるのかなと思って」
「何、が……」
まるでナツが陰で悪い事したみたいな言い方に、お腹の奥の方の内臓がきゅっと縮まった気がした。
「あ、ごめん! 大したことじゃないから、そんな身構えないで」
と、少し慌てたように彼はフォローする。
「た、大したことじゃないなら、もうちょっとサラッとお願いします……」
堪らずに口から出たのは本音だった。
これ以上引き延ばされたら、色々耐えられそうにない。
けど、私の言い方がツボに入ったのか、尚吾くんは声に出して笑った。
少なくとも彼にとってはそんなに重い話でもないのだと、それを見て僅かにだけど、私は落ち着きを取り戻した。