琥珀の記憶 雨の痛み
「考えたことがないのはあんたにまだ考える必要がないからだろ。余裕だよな。時間も選択肢もいくらでもある奴は」
上から見下ろしてくる目は冷たくて、口元だけに浮かんだ笑いは歪んでいた。
「今すぐ高校辞めてここに就職する気になったらあんたの考え認めてやってもいいけどな」
「……そんな風に思うんならなんで高校辞めたのよ。なんで社員になろうとしてるのよ」
昨日から尚吾くんのことですっかり浮かれて幸せ気分で。
学歴に対する自分の考えの変化も、成長の証なんだと前向きな気分になっていたはずなのに。
ユウくんと話していると、そんな良い気分がどんどん失せていく。
イライラして。
「卑屈になってるだけなんじゃないの!?」
頭に血が上ってたんだと思う。
声を荒げてしまってから、ハッとした。
けれどユウくんは、それすら馬鹿にしたような薄ら笑いを浮かべていた。
「試しに大好きなタケにも同じこと言ってみろよ。世の中学歴じゃないからテストの点数は下がったけど全然気にしなーいって」
「な……ッ! 私別に、そんなつもりで言ったわけじゃっ」
「アイツは甘いから何にも言わないかもな。甘ちゃん同士、あんたらお似合いだな」
「――ッ、尚吾くんのことまで馬鹿にしないで!」
――あ。名前……。
引き合いに出され、カッとしてつい叫んでしまった尚吾くんの名に、ユウくんは一瞬目を見開いて。
それから、「へえ」といやらしい笑いに目を細めた。
上から見下ろしてくる目は冷たくて、口元だけに浮かんだ笑いは歪んでいた。
「今すぐ高校辞めてここに就職する気になったらあんたの考え認めてやってもいいけどな」
「……そんな風に思うんならなんで高校辞めたのよ。なんで社員になろうとしてるのよ」
昨日から尚吾くんのことですっかり浮かれて幸せ気分で。
学歴に対する自分の考えの変化も、成長の証なんだと前向きな気分になっていたはずなのに。
ユウくんと話していると、そんな良い気分がどんどん失せていく。
イライラして。
「卑屈になってるだけなんじゃないの!?」
頭に血が上ってたんだと思う。
声を荒げてしまってから、ハッとした。
けれどユウくんは、それすら馬鹿にしたような薄ら笑いを浮かべていた。
「試しに大好きなタケにも同じこと言ってみろよ。世の中学歴じゃないからテストの点数は下がったけど全然気にしなーいって」
「な……ッ! 私別に、そんなつもりで言ったわけじゃっ」
「アイツは甘いから何にも言わないかもな。甘ちゃん同士、あんたらお似合いだな」
「――ッ、尚吾くんのことまで馬鹿にしないで!」
――あ。名前……。
引き合いに出され、カッとしてつい叫んでしまった尚吾くんの名に、ユウくんは一瞬目を見開いて。
それから、「へえ」といやらしい笑いに目を細めた。