琥珀の記憶 雨の痛み
――『薄っぺらい友情』

言われたことを否定したかった。
けど、嘘まみれなのは事実だ。
嘘を吐いたのは、私。


上から落ちてくる雫が冷たくて、重かった。
雨ざらしとは違うけれど、2階の通気孔を抜けて落ちてくる粒はひとつひとつが大きくて、容赦なく服を濡らした。

雨粒も濡れた服も、彼の言葉も。
……重かった。


「……憐れ?」


ナツとの友情について指摘された部分に、自ら触れることは出来なかった。
だから私が復唱するように聞き返したのは、ユウくんが尚吾くんのことを言った部分だ。

尚吾くんが憐れ、だとか言われても、いまいちピンと来なくて。
何で? と首を傾げると、驚愕の眼差しが向けられた。


「お前……」

何か言いかけて、それから何故か頬を引きつらせた。

屈み、落としたままだった傘を拾い上げるとそれをずいっと押し付けてくる。
私は無意識に手を出して、傘を受け取っていた。

「とりあえず、それ以上濡れんな。あと、いい加減泣き止め」

「あ、ごめ……」


傘を持ったユウくんが新鮮すぎて驚いたからか、涙はすぐに引っ込んだ。
というか、まだ涙が流れていたことには、彼に言われるまで気付かなかった。


「もう帰れば、あんた」

と、突然突き放されて、慌てた。

「ちょっと、待ってよ。憐れって、どういう――」
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