琥珀の記憶 雨の痛み
カアッと顔が熱くなっていく。
しょ――、確かに、経験はないけどっ。
そんなこと言われる筋合いじゃないし、そもそも何でバレて……って言うか、何が丸出しなの!?


羞恥とか屈辱とか、いろんなものがないまぜになって、ぷるぷると傘を持つ手が震えた。

それに気付いたからか、ユウくんはすっと傘の下から出ていく。
でも離れたところで、もう人心地などつくわけがない。


ユウくんは何事もなかったように、また新しい煙草を出して火を点けた。
『帰れ』の言葉は撤回して、説明してくれる気になったのか……。

いや、説明されても。
処女うんぬんなんて耳塞ぎたいような恥ずかしい話を、一体どんな顔して聞けば良いんだ。

顔も見れない、見られたくもない。
俯いたまま、でも帰ろうとはしないでそこに立っていると、フッと笑われた気がした。

ああ、もうやだ。
また馬鹿にされてるんだろうか。


「せっかく両想いだって分かってもあんたに付き合う気が無いんじゃ、手も出せなくてアイツは憐れだなと思ったんだが」


――あ。意外と。
普通に説明、してくれるらしい……?


「あんた、男と女が付き合うってのがどんなことか分かってなさそうだから。どっちにしても、憐れだなと」

「ど、どっちって」

「付き合ったところで、そう簡単にヤれなそうだし」

「――ッ」


前言撤回! 普通に説明、なんかじゃないっ!


「ヤッたところで処女は痛がるし感度も悪いし男の悦ばせ方も知らねえし」


完っ全にセクハラじゃない!!
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