琥珀の記憶 雨の痛み
中から睨まれ、おずおずと助手席に乗り込もうとして困った。
「ごめん…車濡れちゃう」
「気にすんな、こっちのが濡れてる」
確かに、彼はびしょびしょのジーンズのまま乗り込んで、運転席のシートは早くも水気を吸って色が変わっている。
ホントにいいのかな、と思いつつも、無言の威圧感に急かされて中に乗り込んだ。
「ありがと、タオル」
肩にかけておけば、透けたブラウスの胸元も隠れる。
そう思って借りたものを開くと、タオルの他にジャージの上着が出てきた。
「適当に拭いたらそれ着てろ」
「……うん」
ユウくん――名倉祐仁がいた中学の、バスケ部のチームジャージだった。
懐かしい、見覚えのある赤。
背中には白抜きで学校名と、YUJINのネーム入りだ。
中学の部活引退から3年、彼がバスケを完全に辞めてからはどれくらいだろう。
あの頃のジャージを大事に取ってあることに驚きながら、お言葉に甘えてそれを借りる。
ユウくんは細身だし中学の時のジャージなのに、私が袖を通すとたっぷりと余ってブカブカだった。
車は静かに走り出していた。
同世代の人が運転する車に乗るなんて初めて。
ううん、そもそも家には車がないから、乗り心地とか運転の上手い下手とかは比べ様がないけれど。
車がおんぼろに見えた割に……運転手がユウくんの割に、意外と快適だった。
商店街裏の細い道を抜けて国道の信号待ちで止まったところで、声をかける。
「助かった。これ、洗って返すね」
漸くこっちを見たユウくんは、アンバランスなサイズ感に気付いたのか、ぶっと吹き出した。
「ごめん…車濡れちゃう」
「気にすんな、こっちのが濡れてる」
確かに、彼はびしょびしょのジーンズのまま乗り込んで、運転席のシートは早くも水気を吸って色が変わっている。
ホントにいいのかな、と思いつつも、無言の威圧感に急かされて中に乗り込んだ。
「ありがと、タオル」
肩にかけておけば、透けたブラウスの胸元も隠れる。
そう思って借りたものを開くと、タオルの他にジャージの上着が出てきた。
「適当に拭いたらそれ着てろ」
「……うん」
ユウくん――名倉祐仁がいた中学の、バスケ部のチームジャージだった。
懐かしい、見覚えのある赤。
背中には白抜きで学校名と、YUJINのネーム入りだ。
中学の部活引退から3年、彼がバスケを完全に辞めてからはどれくらいだろう。
あの頃のジャージを大事に取ってあることに驚きながら、お言葉に甘えてそれを借りる。
ユウくんは細身だし中学の時のジャージなのに、私が袖を通すとたっぷりと余ってブカブカだった。
車は静かに走り出していた。
同世代の人が運転する車に乗るなんて初めて。
ううん、そもそも家には車がないから、乗り心地とか運転の上手い下手とかは比べ様がないけれど。
車がおんぼろに見えた割に……運転手がユウくんの割に、意外と快適だった。
商店街裏の細い道を抜けて国道の信号待ちで止まったところで、声をかける。
「助かった。これ、洗って返すね」
漸くこっちを見たユウくんは、アンバランスなサイズ感に気付いたのか、ぶっと吹き出した。