琥珀の記憶 雨の痛み
『あんたのあの石――琥珀。重い石じゃねえだろ』
ユウくんにそう言われたのは、いつだったっけ……。
いくら外して隠したところで、あの塊はいつだって私の枷なんだ。
持っている限り、ずっと。
そして――、捨てられない。
脱衣所で赤いジャージを洗濯機に入れようとして、ふと気付いた。
捨てられないものが、増えちゃったことに。
少しだけ悩んで、ジャージだけ洗濯ネットに入れて別にした。
本人が捨てろと言ってる上に返せもしないかもしれないのだから、特に丁寧に扱う必要なんかないんだけど。
あの頃の名倉祐仁のプレーは、別にファンでもなかった私の記憶にも今でもしっかりと焼きついていて。
だから彼にとって、これが雑に扱っていいもののはずがないと……それはただの勝手な決めつけと、自己満足にすぎないのだけど。
湯に浸かりながら、考えたのは母のことだった。
あの琥珀をずっと手離せなかった母。
そしてあれを私に託した母。
『お父さん』――その言葉は、母にとっては今でも動揺に値するものだろうか。
あの石は私の手に渡った今でも、母のことをも未だに縛り付けているのだろうか。
見たこともないような青白い顔をしていた。
そのくせ、『彼氏はいるの?』なんて普段は絶対に触れない話題をペラペラと捲し立てて。
無理して誤魔化して、傷口を隠そうとしている母が痛々しかった。
ユウくんにそう言われたのは、いつだったっけ……。
いくら外して隠したところで、あの塊はいつだって私の枷なんだ。
持っている限り、ずっと。
そして――、捨てられない。
脱衣所で赤いジャージを洗濯機に入れようとして、ふと気付いた。
捨てられないものが、増えちゃったことに。
少しだけ悩んで、ジャージだけ洗濯ネットに入れて別にした。
本人が捨てろと言ってる上に返せもしないかもしれないのだから、特に丁寧に扱う必要なんかないんだけど。
あの頃の名倉祐仁のプレーは、別にファンでもなかった私の記憶にも今でもしっかりと焼きついていて。
だから彼にとって、これが雑に扱っていいもののはずがないと……それはただの勝手な決めつけと、自己満足にすぎないのだけど。
湯に浸かりながら、考えたのは母のことだった。
あの琥珀をずっと手離せなかった母。
そしてあれを私に託した母。
『お父さん』――その言葉は、母にとっては今でも動揺に値するものだろうか。
あの石は私の手に渡った今でも、母のことをも未だに縛り付けているのだろうか。
見たこともないような青白い顔をしていた。
そのくせ、『彼氏はいるの?』なんて普段は絶対に触れない話題をペラペラと捲し立てて。
無理して誤魔化して、傷口を隠そうとしている母が痛々しかった。