臆病者の鬼遊び
「それと、……お前は、いくつか勘違いをしている」
「勘違い?」
「そうだ」
七海子がゴミ箱から向き直ると、倫太郎は続けた。
「まず、俺はお前を痛めつけに来たわけじゃない」
ふんふん、と頷く。
「戦わせるために来たんだ」
「えっ……。
それは、鬼と……?」
「他に、何がある」
七海子は、咄嗟にじりっと後ずさってしまった。
途端に、倫太郎の機嫌がまた悪くなる。
「……なんで下がる」
七海子は答えずに、というか言葉が出ずに、そのまま数歩、同じように下がった。
「まあ、いい……」
倫太郎はそれを鼻で笑うと、おもむろに立ち上がり、
「続きは、帰ってから話す」
七海子の手を引いて歩き始めた。