臆病者の鬼遊び
「ちょ、っちょっと……!」
「なんだよ、方向はこっちで合ってるだろ」
(方向って、合ってるって、何が……!)
確かに、方向は合っている。
今向っているのは、七海子の家に間違いない。
(もしかして、送ってくれようとしてるの……?)
でも全然、そんなふうには思えなかった。
嫌な予感がした。
しかし、止まってそれを問い正せるほど、彼女は度胸が据わっていなかった。
間違っても、日傘が差したいなんて言える雰囲気ではなかった。
倫太郎がずんずんと歩き、ひょこひょこ歩きしか出来ない七海子は、半ば彼に引きずられるようになってしまった。
いつ転ぶか分からなくて、ヒヤヒヤものだ。
だが、しばらくすると、倫太郎は立ち止って振り返った。
「お前……もしかして、足怪我してるのか」