心の中の彼

もう離さない

一週間後

仕事終わると

かずきからメールが来た。

「指輪受け取ったら
美香の自宅に行くから
待ってて」

私は怖くて仕方なかった。

「必ず来るよねかずき」

「必ず行くから心配するな」

天気も

あの日と同じ

どしゃ降りで

不安で仕方なかった。

かずきは

こまめにメールくれた。

『只今駐車場到着(^-^)
今ジュエリーショップ到着(^-^ 只今指輪梱包待ち(^-^)
今指輪受け取った(^-^(^-^)
今駐車場出たから向かう』

私は運転中は危ないから

待ってると

メールを終わりにして待った。

普通なら1時間かからないのに

メールさえ来ない。

私は恐る恐る携帯にかけてみた。
《電波の届かない》

アナウンスを聞いた途端

あの日がよみがえって

震えが来た。

すると私の携帯が鳴った。

公衆からかずきの声で

《着いたぞ美香》

私は携帯を握りしめたまま

どしゃ降りのなか

かずきの元へ駆け出した。

「本当にかずきなんだ。
本当に来てくれた。
本当に会えた。」

とどしゃ降りの中

抱きついた。

かずきも傘ささないまま

抱きしめてくれた。

雨に濡れながら

何度もキスされた

「一人にしない言ったろ美香を」
「うん本当にもう離れない」

「絶対離さないよ美香」

雨の中ずぶ濡れだったけど

その日のキスは

止まらなかった。

ずぶ濡れのまま車に乗り

私は左手の薬指に

指輪をはめてもらった。

その指輪を見ながら又泣いた。

泣きながらかずきを見て

「もう離れないからかずき」

「あー絶対離さないから美香」

と何度も何度もキスをした。







< 29 / 58 >

この作品をシェア

pagetop