血みどろミドロ
 何で喰わないんだよ……

 俺は苛々していた。

 目の前には昼間と同じ状態のまま、少し表面が乾燥したバラ肉の上に横たわるミドロの姿。

 下に敷かれたバラ肉はこれっぽっちも食べられた様子はない。

 体の下か? と思い持ち上げて確認してみても同じだった。

 こいつ、肉を選ぶのか?

 だとしたら、変な生き物のくせにグルメな奴だ。

 食べる肉にも種類があるなら、初めからそう書いておけ。

 俺は舌打ちをした。

 せっかく今日のところは難を逃れられそうだと思ったのに、これではまた俺が襲われる可能性が出てきた。

 あからさまに大きな溜息が室内に響く。

 もうスーパーは閉まっている。

 冷蔵庫の中も代用できるようなものはない。

 俺は軽く眩暈を覚えながら立ち上がると、クローゼットに放り込んでいたガムテープを手にミドロの前まで戻ってきた。

 今日のところはこれでしのぐか……

 手にしたガムテープの端をつまんで引っ張る。

 ちょうど良い長さに切り取ったガムテープを、肉ごとミドロの上から床に向かって貼り付ける。

 それを何度も繰り返し、四方八方、隙間なく貼り付けて俺は手を止めた。

 これだけしておけば動けないだろう。

 床には茶色の小さな山が出来上がった。

 ゴミ収集所から自力で戻ってきたんだとしたら、この程度は気休めにもならないかも知れない。

 だけど、何もしないよりかはマシだし、何より今はこれ以上の対処法がなかった。

 動くなよ、と何度も念じながらベッドに横になると、俺はミドロとの出会いから三日目の日を終えたーー
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