血みどろミドロ
 そうか!

 俺は妙案を思い付いた。

 何も生かしておく必要はないんじゃないか。

 あいつが生きている前提で対処法を考えていたけれど、別に生かしておかなくてはならない決まりはなかった。

 どうして初めからそこに思い当たらなかったのか。

 自分の思慮の浅さを嘆く。

 生き物に対して無駄な殺生は避けるべきだが、俺はあいつに二度も襲われ怪我までしている。

 害虫と同じように、自分に害をなすのなら別に駆除しても構わないだろう。

 ベストな対処法が見つかったと、俺は安堵の息を漏らした。

 そうと決まればさっさとやってしまおう。

 俺は腰を上げて玄関へと向かった。

 無造作に床に転がるミドロを拾い上げると、そのままキッチンへと向かう。

 戸棚から包丁を取り出し、改めてミドロを見つめた。

 お前が悪いんだからな?

 まな板を敷き、その上にミドロをゆっくりと置いた。

 どこからやろうか。

 包丁の先端が揺れる。

 ていうか、変なもの噴き出したりしない、よな?

 念には念を。

 俺は一旦手を止めた。

 こういう一見無抵抗に見える生き物は自分の身を守るために何らかの仕組みを体の構造に組み込んでいる場合がある。

 こいつも、やっている事は凶暴だが、それ以外については一見するととても無防備な生き物のように見える。

 不意に湧いて出た警戒心が、俺の決心を揺さぶった。
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