飼い猫と、番犬。【完結】
悔しい。
全部気付かれていたと思うと、これまた恥ずかしくて一気に全身が熱くなる。
ずっと寝ていればまだ可愛いげがあるのに!
普段のこいつはやはり油断ならない。奥歯を噛み締め、すっかり押し込められたその腕から逃げようと必死にもがいた。
「狸寝入りとか狡いじゃないですかっ!」
「別に狡いこたあらへんやろ、どんな反応するんかなーって気になるやん。そしたらじろじろ見ながら触ってくるんやもん、そらー相手したらなあかんやろ」
「あかんくないですっ!さっさと放し……っひゃあ!?」
なのに首筋に触れた何とも言えない感触につい変な声が漏れて、ぞくりと全身に鳥肌がたつ。
そこにあるのは山崎の顔。
──髭だ。
「……、はっけーん」
「うひゃ!?っ、ひゃ、ちょっやめ、擽った……っ」
鬼の首を取ったかの様にすりすりと頬を寄せてくる山崎に殺意が芽生えるも、あまりの擽ったさに体が震えて上手く力が入らない。
ただ全身を駆けるざわざわとした感覚に堪えようと、無意識に目の前のそいつにしがみついた。
やっと体が離れてその攻撃が収まった頃には、もう息も絶え絶え。
それでも文句の一つは言ってやらないと気が済まなくて、力の入らない指でその衿を掴んでキッとそいつを睨み付けた。