私の決心
部長が私の目を見つめる。

「何も求めない。そのままのお前を受け止めたいと思った。そのままのお前で俺の隣に居てほしいと思った。」

私の目からすっと涙が落ちた。

なんて温かい言葉なんだろう。

「だから素の真砂子を描きたいと思った。」

ああ、この人はきっと苦しんで苦しんで生きてきたんだろう。

この人を幸せにしてあげたい。

私は何も言わず、幸二を抱きしめた。

それに答えるように幸二の腕の力も強くなった。

結局私は初めてその晩幸二の家に泊まり、日曜日も一緒に過ごした。

やっぱり家事に向いていない自分にがっかりしながらも、その事を全く気にしない幸二の思いは、本物だと感じた休日だった。









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