好きを百万回。


「安心してね」

「は?」

「木下さんと別れた傷はわたしがちゃあんと癒すから。多分すぐ忘れはるわよ」

「ーーーーーー!」

「だから安心して別れてね」

言い捨てると矢口さんはスキップでもしそうな勢いで自分の席に戻って行った。

カウンターの向こうをぼんやり見ていると心配そうにこちらを見る女の子と目が会った。木曜日にトイレで会った後方事務の子だ。

そっと人差し指を立てて唇に当てると泣きそうな顔をする。

優しい子だ。
週末からざわざわと落ち着かない心が少し癒された。

週明けはほどほどに忙しくて、余計なことを考える暇がないのがありがたかった。危なげなく仕事をこなしていく。

決心したはずなのに、やっぱり気持ちが沈んでいく。

全部何もかも朔也さんに打ち明けたい。
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