好きを百万回。
「矢口、結構ホンキで野波さんのこと狙ってるからね。気をつけた方がええよ」
「気をつけるって、わたし野波さんと何の接点もないけど?」
帰り道、亜弥に脅される。
「ならいいけど。矢口、敵にまわすと厄介やからさ」
私鉄で帰る亜弥と別れ、地下鉄の駅へ急ぐ。
途中、コーヒーショップの前を通りかかったとき、視界の端にふと何かが引っかかった。
ガラス扉の前で、心許なさそうに佇むおじいちゃんがいる。
見覚えのあるコート・・・・・。
あ・・・・・!
「お困りですか?」
つい声をかけてしまった。
「あ、あんたは昼間の・・・・・!」
「はい。今日2回目ですね」
おじいちゃんの表情が柔らかくなる。
「若い人たちみたいにこういうところで待ち合わせしてみたんやけど、なんや敷居が高いなあ」
照れくさそうに頭をかく。
「待ち合わせは何時ですか?」
「あと20分ほどや」