好きを百万回。
「結構人気あるんだよ、木下は。山岸、可哀想だったよ。連れて来いよって責められて」
「あはは、光栄至極。実感はないけどフツーなところが受けるんですかね」
「フツーねぇ・・・・・」
クックッと野波さんが喉を鳴らす。
グラスを持つ手も、長い足を持て余すように組まれた胡座も、少し緩めたネクタイからのぞく喉元も、女の子には胸を突き刺す凶器のように色っぽい。
チラチラと女の子たちが視線を向けるのをこの人は気が付いているのだろうか?
「野波ーーーーー!木下さん独り占めすんなよーーー!」
そんな声が上がって、わらわらと人が集まり出す。勧められるお酒を適当にかわし、無難な話題で相槌をうつ。亜弥のところに途中で逃げようかと思ったけれど、亜弥も囲まれていてわたしと状況は変わらない。