絆の軌跡
口々に自己紹介され、質問され…
眼が回りそうだ。
名前と顔がほぼ一致しない。
「ほらみんな、シーファちゃん困ってるよ」
助け船を出してくれたのはエドワードだった。
「まだ全然食べてないし…ね、何食べたい?取ってあげるよ」
「わっ!上級生に取ってもらうなんて贅沢だよ~」
「エドワード優しい!」
「普通下級生が取るもんでしょ…」
え、そうなのか。
周りにいる女の子達に言われて焦る。
学校には年齢による階級制度があるようだ。
いや、世の中でも常識なのかもしれない。
こんなにも無知な自分…嫌だ。
「まだ来たばっかりなんだからね、
気にしなくて良いよ」
「ねっ?」と頭を撫でるエドワード。
スコーンを食べながら、男子がエドワードを茶化すのを聞いていた。
何故か…胸が熱い。
「「ごちそうさまでした!」」
バラバラと散っていく人々。
目の前にあった料理は校長先生が指を鳴らした瞬間姿を消した。
結局スコーン1個しか食べられなかった。
お昼まで持つだろうか。
「僕達邪魔で食べられなかったでしょ?ごめんね」
「あ、いえ…こちらこそすいません」
「これ、休憩時間に食べて」
緑色の紙で包まれたキャンディー。
「ありがとうございます!」
「うん、じゃあ…また後で」
さっき周りにいた人達の中に混ざっていくエドワードの背中を見つめる。
すごいな、素敵だな…
キャンディーを握り締めて立ち上がる。
さて、ヘカテール先生は…
「…むっ!?」
振り返った瞬間、何かに鼻をぶつけた。
この匂いは…
「あ、アーサー先生…ごめんなさい」
見上げると真上に顔があった。
1歩下がって、もう一度謝る。
「いいぞ別に。それより大丈夫だったか?
さっき絡まれまくってたみたいだが…」
「大丈夫です!エドワードさんに助けてもらいましたから」
「エドワード」と聞いたとたん、アーサー先生の片眉がピクリと動く。
「お知り合いですか?」
「まぁ…俺もスピカ寮だったし、後輩だな。
俺はあんまり…」
語尾がゴニョゴニョしてよく聞こえなかった。
でも同じスピカ寮だったとは驚きだ。
へぇ…と感嘆していると、先生が両頬をつねる。
「喋りながら顔赤くしやがってっ、このこの!」
「にゃんれっ!?」
「ヘカテール先生はあっちだぞ」
すぐに手を離すと、遠くを見つめる。
視線の先には知らない先生と話すヘカテール先生がいた。
「じゃあな。なるべく同じ学年の友達作れよ」
サッと手を上げて去るアーサー先生に手を振り、ヘカテール先生の元に小走りで向かう。