イジワルな先輩との甘い事情
「俺の事、嫌いになったんじゃなかったの」
さっきから幾度となくされた問いかけに。先輩が向けてくる眼差しに。
胸がじんわりと熱を持ち、涙が浮かびそうになった。
だって……なんで、そんな目で私を見るの?
なんでそんな……すがるような目で――。
なんで、そんなに何度もその答えを聞きたがるの……?
「私は……どんなひどい事されたって、先輩を嫌いになんてなれません。
そんなの、先輩だって知ってるでしょ……?」
泣きそうになるのをぐって我慢しながら言うと、先輩はそんな私をじっと見ながら答える。
「知ってるけど、あんな事言われたら俺だって自信持ってなんていられないよ」
交わされる視線が、熱く感じるのは……私の気のせいだろうか。
そこに、先輩の想いを感じるのは……私の、都合のいい思い込み?
あるハズのない先輩の気持ちが私に向いているように感じるのは、私の勘違い――?
ありえないハズの予感に胸がトクトクと期待に鳴る。
胸の前でぎゅっと手を握り、その期待を握りしめるようにして先輩を見つめた。