イジワルな先輩との甘い事情


「先輩だって……松田に、私にキスしていいって言ったじゃないですか」
「いいとは言ってないよ。花奈がいいって言うならって言っただけで」
「私がいいって言ったら、私が誰とキスしてもいいんですか……っ?」
「いいわけないでしょ。だけど、花奈がそんな事望まないっていうのも分かってるし。
それに……もしも花奈が望むなら、俺が止める権利なんか――」
「いい加減にしてください!」

先輩の言葉を遮って、叫ぶように言う。
いつの間にか涙は溢れて、顎から落ちた滴が正座した足に落ちていた。

涙でゆらりと歪む視界。
じっと見つめる先で、先輩が私を見つめているのが分かった。

「私の、勘違いじゃないなら……お願いしたい事があります」

そう言ってからひとつ呼吸をして、先輩を見つめ返す。

「先輩が、好きなんです……。だから、一方的な関係がツラくて、あんな事言いました。
先輩は、私が好きって言った時、言い返して欲しいのって聞いたけど……私はあの時、素直に答えられなかったけど、本当は先輩にも――」

そこまで言ったところで、先輩の大きな手に口を塞がれた。
軽く押し付けられただけだから苦しくはないけど……突然の事に驚いて黙ると、先輩が言う。


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