イジワルな先輩との甘い事情


「してないよ。仕事に支障をきたすと面倒だと思うから社内では丁寧に接してはいるけど、そんなの上辺だけだし。
仕事なのに感情を乗っけてくる女は嫌いだし面倒だとすら思ってる。
そもそも女好きじゃないしね」

もしかしたら古川さんの事を言ってるのかな、と思ったけど……。
でも今の事は私にも当てはまるから、ドキッと心臓が嫌な音を立てた。

「でも……私は、仕事なのにやきもち焼いたりで……先輩の面倒だと思ってるようなタイプにどんぴしゃなんですが……。
あの、もしかして嫌いですか?」

安藤さんとの事があってから、先輩は仕事に私情を持ち込まない女の人が好きなんだって分かって、私もそれに近づこうと頑張ってたけど、結局私は変われていない。
社内だっていうのに、古川さんにやきもちだって焼いてたし……公私混同もしていたと思う。

だから不安になって聞くと、先輩は「なんで分かんないかな」って笑った。

「面倒だって思っても、花奈だから一緒にいるんでしょ。
そもそも嫌いなら付き合ってない」

先輩の言葉に……今更だけど、ちゃんと付き合えてたんだって実感がじわじわと湧いてくるから、また熱い涙が浮かんでしまった。
「俺が花奈の彼氏だって、いい加減認めてくれる?」と聞いた先輩に、涙を拭いながら「はい」と頷いた。

泣きながらの笑顔はきっと見られたものじゃないと思うのに。
先輩は優しく微笑んで私を見ていた。

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