イジワルな先輩との甘い事情
聞きたい事が次から次へと出てくるから、本当に私は言いたい事の半分も言葉に出来ていなかったんだなと思った。
だけど、今は私が勝手に抱えてきた不安要素の解決よりも先輩の体調の方が大切だから。
涙が引いたところで、先輩に体温計を渡して、薬も飲んでくれるようお願いした。
熱は7度7分で、上がってない事にホっとしながらも、ベッドに横になってもらう。
おでこに貼る冷却シートも貼って欲しいとお願いすると、先輩は私の過保護っぷりにか、呆れたように笑いながらもそうしてくれた。
「今日はもう遅いし、俺も送っていけないから泊まれるようならそうした方が俺が安心なんだけど……」
「家、大丈夫?」と聞く先輩に、時計を確認すると21時過ぎたところだった。
「あ、はい。大丈夫です。うちは割と放任だし、もう社会人ですから」
門限もなければ、急な外泊したって特に何も言われない。
それは社会人になれば当たり前だと思っていたのだけど、先輩は少し信じられないとでもいいたそうに笑った。
「俺が親だったら花奈みたいな子を放っておくなんてできないけどね。寛大なご両親だね」
「おかげでこうして看病できるから、よかったです」
ベッドサイドに膝立ちしながら、横になる先輩を眺めて微笑む。
こんな風に寝ている先輩を見るなんて新鮮で、いつまでも見ていたいなぁと思う。
でももちろん、寝ている先輩を眺める事ができなくなっても、風邪が治って元気になるに越した事はないんだけど。