イジワルな先輩との甘い事情


「あの人、自分の恋愛は興味ないんだって。だから、そのうち見合いとかして相手決めるらしいよ。
まぁ、どっちみち時期社長だし、結婚相手とか自由に選べるかって言われればそんな事ないかもしれないから、それでいいのかもしれないけど」
「あ、そうですよね……。社長ってなると、結婚って当人同士だけじゃなくて会社同士の話になっちゃうのかもですし」

そんなの昔の話かな、とも思ったけど、長井工業は大企業だ。
本人が誰でもいいって言うなら、提携を強めたい会社の社長令嬢とかと結婚した方が会社的には利益にもなるだろうし。

「自分の恋愛に興味ない代わりに、人の恋愛見るのが楽しいらしくてさー。
眺めてて、こいつは誰が好きなんだなーっていう矢印発見するのが好きなんだって。
だから、そのために合コンとかよく行ってるらしいよ」
「そうなんですか……」
「でももう若社長も三十だしね。そろそろ自分自身の結婚もあるだろうし……あー、でもこれは趣味みたいなもんだしこれからも続くのかなぁ」

そう苦笑いを浮かべてお酒を飲む和田さんを見ると、どうやら和田さんの会社でもこの会は歓迎されていないんだなって分かって笑ってしまう。

まぁ……でも普通に考えてみれば歓迎されるわけがないのかもしれない。
クリスマスイブだし、集まるのが関連会社の社員ばかりじゃ、あまり楽しめないし。

「和田さんは、三年出てていいなーと思った人とかいなかったんですか?
それとも、やっぱり関連会社だし、そういう感じにはならないですか?」

飲みやすいって言ってもお酒だし……と、少しずつ飲みながら聞くと、和田さんは「そうだなー」と首を傾げる。
語尾を伸ばす話し方とか雰囲気とか、本当に松田みたいで話しやすい。

この部屋に入ってきた時には少しあった緊張も、そのおかげかもう解けていた。

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