イジワルな先輩との甘い事情
「関係会社の社員ってなるとやっぱりちょっとね。本気でいきたいって子がいれば行くかもしれないけど、軽い気持ちじゃいけないよね」
「和田さんは、本気で行こうとか思うんですか?」
なんとなくそこに違和感を覚えたのは、私が和田さんを松田と重ねすぎていたからなんだと思うけど……。
失礼ながら、見た目から判断すれば、遊びたい感じなのかなって思ってたから意外で。
「俺、本気でしか恋愛しないよ」って答えが返ってきたからさらに意外すぎてびっくりすると、「失礼だなー」って笑われてしまった。
「あ、ごめんなさい……っ」
「いや、いいけどさ。俺、結構そういう感じで見られる事多いし。外見こんなだからそれも仕方ないって分かってるし、気にしないでいいよ。
俺だって、柴崎さんがそんな感じなのに、遊びでしか恋愛しませんって言われたらびっくりするもん」
明るいトーンに救われて、私も笑顔を返す。
普段、あまり……というか全然接しないようなタイプだけど、話してみると苦手でもなくて、こっそり松田の軽さに感謝した。
そうか。和田さんは、本気の恋愛が出来てた頃の松田なのか。
「柴崎さんも、本気恋愛だけだよね?」
眺めていると不意に聞かれて、「はい」と答える。
「で、イブにこんな場所にくるって事は恋人募集中?」
「……そういうわけでは」
ないけど……恋人がいるのにこういう場にきたってなると、会社のイメージがマイナスになるのかなと考えて声が止まる。
長井工業の若社長がこのパーティを開く意図は、恋愛観賞なわけだし。
だとしたら、恋人がいますなんて答えて場を盛り下げたら、若社長の意図に反しちゃうのかもしれない……。
けど、だからって嘘つくのも……。