イジワルな先輩との甘い事情
「一ヶ月に一、二回、遊びに行くくらいですけど、普通の同期よりは仲いいかもです。
松田は何言っても否定しないから、相談しやすいし」
「相談って、恋愛の?」
「え?」
急に変わった声のトーンに見上げると、さっきまでニコニコしていた和田さんが、やけに真剣な顔をしてこっちを見ているから戸惑う。
私、何か変な事言ったかな……と考えて「あの……」と声をかけると。
「あー、ごめん。なんか、酔ったのかも」と困り顔で笑われて、少しだけ安心したけど……。
なんとなく今までとは違った空気が流れている気がして落ち着かない。
気まずく感じて、持っているグラスに視線を移した時、急に部屋が暗くなった。
完全に照明が落ちたわけじゃなくて、オレンジ色のわずかな灯りは灯っているから、薄暗闇って感じだけど……どうしたんだろう。
消えた電気を眺めていると、すぐにその理由が放送された。
……若社長のアナウンスで。
「えー、去年は一気に全部消したら、相手の場所が分からないって事で苦情が出たので、今年は相手を確認する時間を設けましたー。
あと10秒で照明完全に落としますので、それまでに相手の場所覚えて下さいね。
ライトがつくまでは五分。連れ出すもよし、身体を寄せ合うもよし! 親睦を深めてくださいねー」
「ただし、着衣を乱すような事は禁じますからー」という言葉に、そこら中から重たいため息が聞こえてくる。
みんな迷惑がってるみたいだったけど、でもこれが終われば後30分もすればお開きだ。
そしたら解放される。
だから後もう少しの我慢だ。
そう思いながら、暗くならないうちにとグラスをテーブルに置いたところで、部屋が真っ暗になった。