イジワルな先輩との甘い事情


大学二年の文化祭、お付き合い程度で美術サークルに入っていたのだけど、二週間前に突然招集がかけられて行ってみたら、企画が決まっていないと泣きつかれた事があった。

学年ごとに一部屋ずつ使って展示物を作るって事に決まったらしいけど、二年生は誰も案がなくて決まらなかったらしくて……何かないかって。
本当は、蛍光塗料を使って星空を部屋いっぱいに描く予定だったけれど、それだと蛍光塗料代とブラックライト代がかかるから、予算オーバーで却下されてしまったらしく、そこから手詰まりになったって話だった。

だから、何か他の案ない?って。

急に言われてもアイデアなんかすぐポンって出るハズがなくて、でも、頼られたからには何か出さないとって頭を抱えていた時。
それに気づいて助けてくれたのは北澤先輩だった。

『思い詰めた顔してどうしたの?』って声をかけてきてくれた先輩に事情を話すと、少し時間が欲しいって言われて。
その翌日、『蛍光塗料がダメなら、蓄光塗料は?』ってアイデアをくれた。

あと二週間しかないって事を考えると、どんなに頑張っても手の込んだものは無理だ。
だから、簡単ではあるけど、最初の予定通り、黒く塗った画用紙に蓄光塗料で星座を描いて、たくさんの星の中からお客さんに見つけ出してもらうっていうゲーム性を取り入れたらどうかって。

蛍光塗料だとブラックライトが必要になるけど、蓄光塗料なら自然光を当てた後部屋を暗くすれば光ってくれる。
塗料代だけで済むなら、予算もいけるんじゃないかって。



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