イジワルな先輩との甘い事情
私と北澤先輩の関係は、私からの告白に先輩が頷く形で始まった。身体の関係もある。
けれどそこに……北澤先輩からの恋愛感情があるかと言われれば、答えは多分……ノーだ。
安藤さんが今の彼氏の事を、繋ぎだという表現をしていたけれど……北澤先輩にとって多分私もそうなんだと思う。
都合のいい女でいいから。好きじゃなくていいから。それでも一緒にいたい。
そんな私の願いを、先輩はただ受け入れてくれただけで……私を好きだとは一言も言っていないから。
私の名前を乗せる声も、触れる指先も。
先輩が私にくれるモノはすべて温かくて優しさに溢れているけれど……それは先輩がただ優しいからで、私へのものが特別だからというわけではない。
会う度に伝えている「好き」の言葉は、いつか「俺も」だとか「好きだよ」だとか、そういう言葉が返ってくればいいと願いながら声にしているものだけど。
先輩が私の望む言葉をくれた事は一度もない。
いつも、私の気持ちに、「うん」って答えるだけで。
そんな関係が続いてもう半年になるのだからいい加減先はないのだと諦めた方がいいと、園ちゃんは言うけれど。
やっぱり、好きだから。
私を好きじゃなくても一緒にいてくれる間はそうしたいと願ってしまう私はきっと、愚かなんだろう。
手に入らないと分かっているのに、後輩とうっかり北澤先輩争奪戦をしてしまうのだから。
北澤先輩にとってはただの繋ぎだとしても。
そんな、いつプツリと一方的に切られてしまうかもわからない関係でも。
私は諦めたくないのだからどうしょうもない。