イジワルな先輩との甘い事情
先輩、あさましい子は嫌いって言ってたけど……安藤さんと競争なんかしてるって、私あさましいかもしれない。
先輩をかけて勝負だなんて、松田が言ってたみたいに、思いっ切り肉食女子って感じだし……。
私……もしかして肉食女子? 先輩、肉食女子とか苦手そうだけど……どうしよう。
今更ながら浮かんできた不安に、エントランスに入ったところで思わず立ち止まる。
考えてみれば、彼女だったらまだ話も分かるかもしれないけど、彼女でもなんでもないのに先輩かけて勝負っておかしい気がしてきた。
先輩に相手にされてないふたりが勝負したところで、だから何だって話だし……。
とにかく負けてられない!って思って始めた勝負だけど、勝ったからどうとか、負けたから諦めるだとかも決めてない。
生保の検定がなければ、勝ち負けをきちんと決める明確な結果だってなかったような勝負だ。
第一、安藤さんは社外では会わないなんて言ってたけど、社内で融資管理課との接触なんてまずない。
それに、当たり前だけどみんな仕事してるわけで……安藤さんだってきちんと仕事してるし、そうなればお昼休みくらいしか先輩に近づくチャンスはない。
そんな短時間に狙い定めて近づくなんて、かなり長いスパンで考えないと無理な気がするけど……どうなんだろう。
安藤さん美人だし、それでもいけるって踏んだのかな。
自信、ありそうだったし……。
そう考えて、肩にかけていた鞄の持ち手をぎゅっと握った。
やっぱり、負けたくないと思う。