イジワルな先輩との甘い事情


「ちゃんとした関係でもないのに身体まで許しちゃって。
まぁ、分からないでもないけどね。北澤さんって顔立ち整ってるし物腰柔らかくて優しそうだし、社内でも人気あるもんね。
そんな北澤さんに迫られたら、例え強引だったとしても断れないのは仕方ないかもね」
「別に強引にされたわけじゃないよ。……北澤先輩はいつも優しいし」
「それって、性格がって事? それともエッチが?」

言葉を選ばない園ちゃんに「両方」と、もごもごしながらドーナツを口に詰め込んでいると、視線に気づく。
顔をあげると、憐れむような顔で私を見る園ちゃんと目が合った。

「言いにくいんだけど、それって早い話がただのセフレでしょ? 男なんてやる前はみんな優しいってよく言うし。身体目的って事」
「身体って……私の?」

納得できずに眉をしかめた私に、園ちゃんも同じ表情になって首を捻る。

「北澤さんならもっとボンボンした身体の女捕まえられそうだけど……でもほら、趣味ってあるし。
華奢で平べったいのが好きなのかもね」

平べったいなんて言ってくる園ちゃんに「園ちゃんだって私より小さい……」と言いかけたところで、びくっと身体が跳ねてしまうような視線を向けられて黙る。

「言っておくけどね。女は胸の大きさじゃ決まらないんだからね。
あと、Bだからって私を見下していられるのも今のうちだけなんだから」
「見下してなんかないよ。そもそも私の事平べったいって言い出したのは園ちゃんじゃない」
「あーあ。あと、このドーナツ分くらい胸大きくなんないかなぁ。ほんと、世の中不平等」



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