イジワルな先輩との甘い事情


安藤さんと別れてから、「寄って行きなよ」と言われて、誘われるまま行った先輩の部屋。
一週間ぶりの部屋は相変わらず綺麗に片付けられていて、前来た時と何も変わっていなかった。
たった一週間しか経っていないんだから、変わってなくて当然だ。でも……何も変わっていなくても、今日は木曜日。
私が来ていい、水曜日でも土曜日でもない。

いつもはこない曜日に招かれてしまって、部屋に入ってからいいのかなと不安になった。

園ちゃんがいつか、他の曜日は違う女連れ込んでるんじゃない?みたいな事言ってたし、鉢合わせとかなったらどうしよう……。
そうも考えたけど、でも先輩がいいって言うんだから、と思い切って入った部屋は当たり前かもしれないけど無人で安心した。

時間もないしって、来る途中で買ってきたお弁当をふたりで食べて、その後コーヒーを入れたけど……カップの位置だとか、そういうのも私が知っているままだった。
なんとなく意識して他の女の人の影をそこら中に探しちゃったけど、何ひとつ見つけられなくて。

さすが先輩だなって変な風に感心する。

「今日も落ち着かないね。どうかした?」

先輩が『今日も』って言ったのは、この間、ここに来た時すぐ帰った事へのちょっとした嫌味なのか。
ソファーに座る私を隣から眺めながら微笑みを浮かべる先輩に、慌てて首を振る。


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