イジワルな先輩との甘い事情
「なんですかね、あれ。最近三階ちょろちょろしててすごい目障りなんですよね。
北澤さん目当てだか常務の娘だか知りませんけど、公私混合が過ぎません?」
うん、とは頷けずに困っていると、私の返事はどうでもよかったのか安藤さんが続ける。
「仕事中に抜け出して融資管理課きてるとか、なんで誰も注意しないのか不思議で仕方ないんですけど。
そういう贔屓みたいなのがあるから業績上がらないんですよ。
私が意見できる立場になったらまずそこからテコ入れします」
はぁああ、とため息を落とした安藤さんが私に視線を移して……そして顔をしかめる。
「先輩も、やられっぱなしだったじゃないですか。
しっかりしてくださいよ。私相手だった時にはあんなに勇ましく戦おうとしてたのに」
「え、だって、古川さんは……」
北澤先輩をかけて私と争う気なんてない。
だって、私が北澤先輩を好きだって事も、私と先輩の関係も知らないハズ。
そう言おうとして止まったのは、さっき、古川さんが私の名前を呼んだのを思い出したからだ。
古川さんは、ここ半月、三階でちょっと噂になってるから私もそれで名前を知っていたけど……私はどこかのフロアで噂になるほど有名じゃないし、目立ってしまうような派手な行動をした覚えもない。
なのになんで古川さんは私を知ってたんだろう……。
その答えを、安藤さんが口にする。