イジワルな先輩との甘い事情
もう一度同じ量を取りにいけば元は取れそうだった。
ケーキはひとつひとつ見た目からして高級感があるし、味も上品に感じる。
甘さが控えめで、これなら北澤先輩もおいしいって感じるかもしれない。
そう考えて……せっかく作った笑顔が苦く崩れた。
たった二回、約束をキャンセルされただけだ。
それまで何十回って会ってきたんだから、それに比べたら二回なんて全然大した事ない。
二回が重なったのだってきっとたまたまで、心配する必要だってないって思うのに……。
『花奈は気にしなくていい事だから』
私を突き放す優しい声が耳の中で繰り返され、どうやったってかき消せない不安が胸の中で渦巻く。
そんな不安を追い出したいけど、私の中には先輩からもらった特別な言葉なんてものはなくて。
先輩と私の関係を思い知らされた気がして、ズキリと胸の奥が痛んだ。
先輩は、私には関係ない事だって言ったけど……。
逆に、私に関係ある事って、先輩の中にあるのかな。
先輩と私の関係は、あの部屋でしか繋がっていなくて。
それを分かっていたからこそ、部屋に行くことを拒否されたのが悲しかった。
きっと、先輩が〝もう来なくていいから〟って言った時が、関係の終わりだ。
その終わりの端っこが見えてしまった気がして……悲しかった。