イジワルな先輩との甘い事情
不意に、目の前にコトンとマグカップを置かれ、ハッして顔を上げると、松田が席に座るところで。
目が合うと、にっと笑顔を向けられた。
「ココア。ここのココアってすげー人気なんだって。
今、店員に一番人気どれだって聞いたら、ドリンクではホットココアだって言ってたから」
「だからきっとうまいから」って言われて……「ありがとう」と笑顔を返して、ココアの入ったマグカップに手を伸ばす。
コクがあってクリーミーなココアは後味がよくて、余計な甘さも感じないしおいしかった。
普段、会社ではペットボトルのお茶くらいしか飲まないし、先輩の部屋ではコーヒーしか飲まないから、久しぶりに飲んだココアの優しい甘さにホッとする。
マグカップから伝わってくる温かさにも癒されて、ふっと気が緩んだ時。
今度は、ドンッと大きなお皿が置かれた。
お皿に乗っているのは、レアチーズケーキに、ガトーショコラに……たくさんのプリンブリュレ。
プリンブリュレはこのお店の一番人気で、さっき見た時には長蛇の列が出来てたから諦めようって園ちゃんと話したのに……。
向かいの席にドカッと座った園ちゃんを見ていると、松田と同じような笑顔で笑われた。
「ちょうど空いてたから並んでとってきた。やっぱ一番人気は食べとかないとねー。
ひとりふたつまでだったから、六個しか持ってこれなかったけど。松田連れてきておいてよかったー」
「はい」と、ブリュレの入った陶器のカップをみっつ取り分けられて戸惑っていると、園ちゃんが続ける。