Only Our Memory
「いゃぁ…っ…!」




顔を両手で覆って泣き崩れる私を、泰生君は、また抱きしめてくれた。



涙でシャツが濡れても優しく、しゃくり上げる私を強く包み込む。



泰生君の腕の中で涙が枯れるまで泣いた。



まるで小さな子どものように。



少しだけ落ちついて、目を閉じたままの駆琉をみた。



ベッドにいる駆琉は、眠っているようにしか見えなかった。



由佳さんはただひたすらに、声を押し殺して泣いて、


駆琉の手を握っているだけだった。

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