Only Our Memory
「飲み物、買ってくる。」




俯いたまま座っていた、椅子から立ち上がって、泰生君が静かに病室を出ていった。




ダンッ!




壁を叩いた音が廊下に響く。



その音が何を意味しているのかは、すぐにわかった。




泰生君…。




しばらくして、再び戻ってきた泰生君の目は、少し赤くなっていた。



私の前では悲しそうな顔なんてしないのに、本当は隠れて一人で泣いてるんだ。



私達の前で弱さを見せないのは、強いからじゃなくて、


自分がしっかりしなくちゃって思ってるから。

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