イジワルな旦那様とかりそめ新婚生活
「ちょっと残念なところかしら。お嬢様のくせに所帯染みてて、本の世界に生きて現実の世界の男と恋愛しないとこ」

夢を見て何がいけないのよ?

現実の世界の恋愛っていろいろとメンドーだ。プロセスを間違えるとすぐに駄目になるし……。

正直言ってリアルな男だとすぐに欠点を見つけて幻滅してしまう。ちょっと良いかと思っても、自分の理想と少しでも違う事をされると恋愛対象として見れない。

だから、24歳になっても本気で好きになった人はいない。

「だって、小説の中のヒーローは完全無欠で格好いいじゃない?」

「現実の世界にだっていい男はたくさんいるわよ。鷹司先輩だって凄くいい男じゃない。ところで、話戻すけど、何で同居までしてんの?」

「刹那さんにいろいろと事情があって、私はお姉ちゃんが戻るまでの人質と言うか……」

「それで、鷹司先輩とどこまでいったのよ?」

「え?牛丼屋と大学病院まで……かな?」

私の答えを聞いて、奈々子は痛い子を見るような目で私を見た。

「牛丼屋?あんた、ほんと天然ボケね。その様子だと、まだ最後の一線は越えてないようね」

「最後の一線って……奈々子。刹那さんは、お姉ちゃんの結婚相手だよ」

奈々子の言葉の意味を理解して、思わず赤面する。
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