イジワルな旦那様とかりそめ新婚生活

「桜子は不器用だからね。どうせあんた化粧品持ってないから後で塗ってあげるわよ。顔が人形みたいに可愛いから化粧の必要ないかもしれないけど、普通はいろいろと粗を隠すのに苦労するのよ」

「人形みたいに可愛いって……。私はお姉ちゃんと違って地味な桜子って言われてたんだよ？」

男の子達にそう言われるのが嫌で、高校の時は暇さえあれば旧校舎の図書室に逃げ込んで本を読んでいた。

「それは、桜子が振った男の子が腹いせに言ったのよ。桜子は自覚ないかもしれないけど、あんたに惚れてる男の子って結構いるんだから。まあ、妄想癖を知ったら引くかもしれないけど」

「まさか？私と親しくなってお姉ちゃんと付き合いたいだけだよ」

「薫子さんは確かに綺麗だけど、男の子からすれば、桜子みたいな顔の方が庇護欲をそそられるんだと思うわよ。性格は置いといてね」

「私の性格のどこがいけないのよ？」

奈々子の言葉にムッとなる。