イジワルな旦那様とかりそめ新婚生活
「その人にキスマークつけられてんのよ。楽しい同居ね。あんた、このままだと本当に鷹司先輩の嫁にされるわよ。どうする気?」

「どうする気って……お姉ちゃんが戻るのを待つしかないんだけど……」

下手に動いて刹那さん怒らせたら、融資止められちゃうかもしれないし。

「そんな受け身でどうするのよ?」

奈々子がハーッと溜め息をつきながら、呆れたような目で私を見る。

「面白そうな話をしてるね」

……この声は。

ハッと後ろを振り返ると、そこには久世さんがいた。

スーツ姿でにっこり微笑んで、まるで俳優さんのよう。

彼の周りだけ空気が違う。

何で大学にいるんだろう?

「久世先輩じゃない?凄くいい男になってるわね」

奈々子の綺麗な深紅の唇が弧を描く。

「う、うん」

奈々子の言葉に適当に相槌を打ちながら、久世さんを見る。

「桜子ちゃん、昨日は大丈夫だった?」

久世さんは私達のテーブルに近づくと、私の横の椅子に腰掛けた。
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