イジワルな旦那様とかりそめ新婚生活
「……もう大丈夫かも」

ちょっと安堵しながら言うと、刹那さんは厳しい表情で頭を振った。

「火傷を甘くみるな。多分まだ痛みは続く」

浴室の防水用の時計にチラリと目をやると、刹那さんはまた私を抱き上げる。

「うわっ、刹那さん‼大丈夫です。歩けます」

私はそう主張したのに、刹那さんに睨まれ即座に却下された。

「それは、医者が診ていいって言ってからだ」

とりつく島もない。

それからは、刹那さんが電話で右京さんを呼び出し、部屋着のまま右京さんが調べた夜間救急でやってる大学病院に連れていかれた。この大学病院は刹那さんのお祖父さんが入院している病院だ。

車に乗っている間も火傷したところが刹那さんの言うようにヒリヒリ痛んだ。

救急だからなのか、それとも鷹司の名前のお陰なのか、病院に着くとすぐに診てもらえた。

手当てをされ、痛み止めと化膿止めの薬をもらったが、治療は今後も続くと聞いてひどく落胆する。
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