イジワルな旦那様とかりそめ新婚生活
「ああ。じいさんもきっと喜ぶだろう」

「じゃあ、早く朝食の準備しなきゃ」

慌てて冷蔵庫を開けようとすると、刹那さんに手を捕まれた。

「足は?そんな足で歩くと痛いんじゃないか?」

「ちょっと痛いですけど、走るわけじゃないし大丈夫です」

「今日は座ってろ」

刹那さんがダイニングの椅子を指差す。

「え?でも……」

私が戸惑っていると、刹那さんはスーツのジャケットを脱いで私に手渡した。

「俺が作る」

シャツの袖をめくり、キッチンに立つ刹那さん。

彼に言われた通り椅子に座ってボーッと彼が料理するのを眺める。

男の人なのに手際がいい。料理出来るんだ。

十分程経っただろうか。

美味しそうな甘い匂いがダイニングに漂ってきた。

この匂いは……。
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