イジワルな旦那様とかりそめ新婚生活
「フレンチトーストだあ」

思わず顔が綻んでしまう。フレンチトーストが嫌いな女の子っているだろうか?

刹那さんが作ってくれたフレンチトーストは外はカリカリで甘さも私にはちょうど良くて、調子こいて「お代わり」っと言ってしまいそうになった。

「美味しかったあ。ご馳走さまでした。刹那さんって料理するんですね」

「茹でるか焼くくらいしかやらないけどな」

でも……うちのお母さんとお姉ちゃんなんてキッチンにすら立たないよ。冷蔵庫に何があるかもしらないし。

……多分、やる気の問題だよね。

仕事だって忙しそうなのに偉い。

ちょっと感心していると、刹那さんが私を見てクスッと笑った。

「何ですか?顔に何かついてます?」

「いや。餌付けしてるみたいで面白かった。薬飲んだら行くぞ」

餌付けって……また珍獣扱いですか!

私が膨れると、刹那さんは立ち上がって食器を片付け始めた。
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