イジワルな旦那様とかりそめ新婚生活
続ける方を選んだのは自分。

刹那さんのジャケットをギュッとつかみ、私は目を閉じて彼のキスに応えていた。

刹那さんのキスは嫌じゃない。でも、何故嫌じゃないの?

彼がキスを終わらせた時は、腰が砕けそうになって彼に身体を支えられていた。

「続きは出張から帰ってきてからだ」

刹那さんが私の耳元で甘く囁く。

彼はもう一度ギュッと私の身体を抱き締めると、またメガネをかけて私からゆっくりと離れた。

「もう行かないとな」

刹那さんが私から離れると、身体が急に空気にさらされて六月だというのに寒く感じた。

温かい毛布をはがされたようなそんな感じ。

「桜子、ボーッとしてると、また怪我するぞ」

放心状態の私を見て、刹那さんがクスッと笑う。

「心配だな。やっぱりスーツケースに入れて一緒に連れて行くべきか……」

刹那さんは顎に手を当て考える仕草をすると、意地悪く笑った。
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