イジワルな旦那様とかりそめ新婚生活
「なんでスーツケースに入れるんですか!私は人間ですよ!」

刹那さんに噛みつくと、彼は私の頭をよしよしと犬にするみたいに撫でた。

「秋人にもその調子で噛みつけ。火傷の跡も毎日写メしろよ。木曜日に戻る」

「帰って来なくて良いですよ、永遠に!」

私が刹那さんに向かってアッカンベーをすると、刹那さんは面白そうに声を上げて笑い、後ろ手に手を振って行ってしまった。

玄関のドアがガチャンと閉まると、急に家の中が静かになり一人でいるのがなんだか寂しく感じる。

「お留守番くらい出来ますよ。大人だし人間ですから!」

もう刹那さんはいなくなったというのに、独り言にしては大きな声を出す。虚しく響く私の声。

「刹那さんがいない方が落ち着くし、意地悪されないし、一人でゆっくり寝れるし……。一人でも全然平気だもんね」

刹那さんがいなくても寂しくなんかない。
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