イジワルな旦那様とかりそめ新婚生活
「終わったら呼ぶ」

鷹司さんは榊さんにそう告げると、私の手を掴んだまま店へ入る。

まさかと思うけど……鷹司さんもここで食べる気?こういう店は毛嫌いしてそうなのに……。

鷹司さんは入り口横にある券売機の側で立ち止まり、胸ポケットから財布を取り出す。鷹司さんと牛丼屋。明らかにミスマッチだと思うのだが、彼の動作には戸惑いがない。

少なくとも何度かこういう場所には出入りしているような……。

「何にする?」

「……いえ、自分の分は自分で……」

私はぎゅっとバッグを握り締める。

「俺が払えないほど稼ぎが少ないとでも?」

冷ややかな目でギロッと睨まれる。

……怖い。これ以上逆らったら、食事抜きで区役所に連れて行かれそう。
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