イジワルな旦那様とかりそめ新婚生活
はっきり言って私には演技力がない。台詞が棒読みでも大目に見て欲しい。

「十六時間も寝れば十分だ。お姉ちゃんとお幸せにってどういう事だ?」

ううっ、……厳しいお言葉。初っぱなから答えにくい質問はしないで下さい。心臓に悪いです。いま私の心臓はガラス細工のようにもろくって。

「そ……それはですね 。あっ、お腹が空いたかも?」

これで……誤魔化せません?

恐る恐る刹那さんの反応を窺う。

「腹が減ってるなら、全部しゃべるんだな。そしたらいくらでも食べさせてやる」

やっぱり……駄目ですか?

ガクッと項垂れると、刹那さんに顎を捕まれ目と目を合わせさせられた。

「話す気がないなら、こないだのキスの続きをしようか?キスで終わるか自信はないが」

刹那さんが私の目を見て妖艶に微笑む。
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