イジワルな旦那様とかりそめ新婚生活
「刹那の奴……酷いね」

刹那さんの事を悪く言われたのに、久世さんに言い返す事は出来なかった。

ギュッと唇を噛み締める。

それから車の中ではお互いずっと無言だった。

久世さんが車を停めたのは、赤坂のホテルTAKATUKASA。刹那さんのオフィスがある場所。

車を降りると久世さんと一緒にホテルの中に入る。

何かの間違いであって欲しい。

どうかお姉ちゃんではありませんように。

そう願いながら久世さんについていく。

久世さんが向かった先は、刹那さんとアフタヌーンティーを楽しんだあのラウンジだ。

残念な事に一歩中に入っただけで、お姉ちゃんがどこにいるのかわかった。

「お姉ちゃん……」

お姉ちゃんは膝上丈の白いニットのワンピにターコイズブルーのジャケットを羽織り、長い脚を組んで優雅にコーヒーを飲んでいる。
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