イジワルな旦那様とかりそめ新婚生活
そこは……私が刹那さんとアフタヌーンティーを楽しんだ時に座った席だ。

刹那さんはスーツだけど、ここからじゃ顔が見えなくて彼の表情がわからない。

でも、何かが音を立ててガタガタと崩れていくような気がした。

本当に……これで終わりなの?

「桜子ちゃん、大丈夫?そこの席だと死角になるから、そこに座ろうか?」

久世さんが私の顔を心配そうに覗き込む。

私はコクリと頷いた。

ソファー席に腰掛け、適当に紅茶を注文すると、私はじっとお姉ちゃんの方を見た。

モデルみたいに綺麗で自信に満ちあふれていて……私にないものを何でも持っている。

今までそれをうらやましいと思った事はあまりなかったけど、今日は違った。

「私がお姉ちゃんだったら良かったのに……」

そしたらずっと刹那さんと一緒にいれるのに……。
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