イジワルな旦那様とかりそめ新婚生活
「桜子ちゃん……ごめんね。こんな辛い事になって……」

久世さんが申し訳なさそうに謝るが、彼は全然悪くない。

「いいえ……仕方ないです」

私はじっと指輪を見つめる。

やっぱり不要になっちゃったな、この指輪。

耳に届くのはお姉ちゃんの楽しそうな笑い声。

何を刹那さんと話しているかはわからないけど、かなりご機嫌のようだ。

結局、私はからかわれただけ。二人の茶番に付き合わされたのだ。

じわじわと涙が込み上げてくる。

私は指輪を外して、それを右手に持つとソファーから立ち上がって二人のテーブルに向かった。

「桜子ちゃん!」

久世さんに呼び止められたが、彼の制止を無視した。一言お姉ちゃんに言ってやらないと気がすまない。

二人のテーブルの前まで行くと、お姉ちゃんに声をかけた。

「お姉ちゃん、無責任過ぎない?」

私の登場に驚く事なく、お姉ちゃんは面白そうに口角を上げる。
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