イジワルな旦那様とかりそめ新婚生活
刹那さんが支払いを済ませると、私達は刹那さんのホテルに向かって歩き出す。

チラリと腕時計を見ると、もう夜の十一時を回っていた。

「あのう、奈々子はどこへ?」

「もう遅い時間だったからタクシーを呼んで帰ってもらった。いい友達だな」

刹那さんが私に向かって優しく微笑む。

「はい、一番の親友です。でも、お姉ちゃんの事はいいんですか?」

「薫子にはホストの彼氏がいる。後で君のご両親も知ることになると思うが、彼女はホストの男の子供を妊娠している」

「お姉ちゃんが妊娠~?」

夜中にも関わらず大声で叫んでしまうと、刹那さんに口を押さえられた。

「声が大きい」

悪戯っぽい目で刹那さんに睨まれる。

だけど、あのお姉ちゃんが妊娠って信じられない。

「ごめんなさい。でも、お姉ちゃんは私に「私の身代わりご苦労さま」って……」
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